19世紀生まれの名演奏家

みなさんは、19世紀というと遠い昔のように感じるのではないでしょうか?(日本では江戸末期から明治に変わる時代ですね)

しかし、約150年前の演奏家で現在聴ける人はたくさんいます。エジソンがレコードを発明してくれたおかげですね。

今回は19世紀(1800年代)に生まれたとても有名なヴァイオリニストを1人ご紹介したいと思います。

その名は、

フリッツ・クライスラー(敬称略)

1875年(明治8年)2月2日 オーストリア ウィーン生まれ。

そう、本日が誕生日です。
Happy birthday!おめでとうございます!

(ちなみに、もう1人同日生まれの偉大なヴァイオリニストがいますがご存知かな? ヴァイオリンの王様と言われた 
ヤッシャ・ハイフェッツである。
1901年2月2日なので20世紀生まれですね)

さて、若いヴァイオリニスト達の中にはクライスラーと聞くと愛の喜び、愛の悲しみ、美しきロズマリンなどの作曲家と思っている方もいるでしょうが、
彼は本当に素晴らしい演奏家でもありました。
LPレコード以前の、旧吹込みレコードやSPレコードがほとんどですが、今はCDにもなっていますので聴くことができます。

彼は多くのエピソードを持っている人なので、いくつか書きたいと思います。

まず作曲についてですが、当時公開演奏できるヴァイオリンの小曲が少ないと感じた彼は、多くの小曲を作曲しました。(子供の頃、ブルックナーに作曲を学んだらしいが、、、)
それと同時に当時あまり知られていなかったバロック時代の作曲家の名を使い編曲したと言って作品を出したが、
後年、全て自身の作曲と認め世間を驚かせた。
(一部の批評家達は、彼自身の作品は大した事ないが、ヴィバルディやプニャーニなどの昔の作曲家の編曲は素晴らしいなどと言っていたので全てクライスラー作曲と知った時、恥をかかせられたと思っただろう)
彼なりのユーモアだったのだが。

ヴァイオリン演奏については、いくつかの文献を見る限り、ビブラートの素晴らしさについて書いている。(同時期活躍した、ビオラ奏者のターティスはクライスラーのようなビブラートを目指したと言っている)

あと、音の美しさは凄かったらしい。
以前、私の師匠(明治生まれ)が、1930年代にウィーンでクライスラーの生演奏を聴いた時の話をしてくれた。
曲目はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲。この曲の中に、G線を弾いたままD線で旋律を奏でる箇所かあるのだが、音程が不安定でなんかズレていたがそんなことは気にならないほど

"とにかく音が美しかった!"

と、言っていた。

現在の演奏で音程が悪いというのは致命的ですが、それをも凌駕するとは、本当の芸術家だったのですね。

そして人柄については、
演奏会で聴衆一人一人が、私の為だけに弾いてくれていると錯覚してしまうほど温かい演奏をしたらしいですね。そういうこともあり彼が舞台に現れただけで聴衆は感激し、大拍手を贈ったようです。

他にもおもしろいエピソードが沢山ありますが今回はこのくらいにしておきましょう。

最後に、彼は辛いことなどもユーモアに変えて生きていたようです。第一次大戦では、兵士(軍医?)として戦地に赴き右肩を撃たれ重傷を負ったり、作曲事件では一部の批評家に散々言われたり、公開演奏ができない時期もあったようです。

現在、世界的に辛い時期ですがユーモアを忘れずに生きていきましょう。そしてたまには、古き良き時代の演奏を聴いて温かい気持ち持ってみましょう。

 

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